催眠療法コラム
時代の変化に伴う社会の複雑化や価値観の多様化を背景に、そのストレスから「心の病」に陥るケースが増えています。
日本ではその治療法として先ず筆頭に上げられるのは、心療内科や精神科で行われる薬物療法でしょう。
実際に当所を訪れるクライアントさんの約6割は睡眠薬や抗不安薬、抗うつ剤などの向精神薬を服用されているか、服用の経験をお持ちです。
しかしながら薬物療法は、時として即効性を発揮し、保険が効き手軽に手に入れられるというメリットを持ちながら、その反面「長期服用しても改善しない」「副作用に苦しんでいる」「薬物依存から抜けられない」などの声もまた多々あがることも事実です。
そのような背景の中から注目されて来ている治療法が、心理療法(=psychotherapy)です。
心理療法には当所で扱う、心理カウンセリング、催眠療法、精神分析を始め、TA(交流分析)、日本古来の内観法、森田療法、ゲシュタルト療法、音楽療法、芸術療法、箱庭療法、最近注目されている認知行動療法などがあります。
では、どの心理療法が一番効くのでしょうか? 実は「これが誰にでも一番効く」という治療法は存在しません。
「催眠療法で治りますか?」
「催眠は本当に効くのでしょうか?」
初回のご相談を受けていると、必ずと言って良いほど、クライアントさんの口から出る質問です。知識も経験もないクライアントさんが、このような疑問を持たれるのも無理もありません。
我々心理療法のプロでも「この治療法で必ず治る」と断言できる方法は持ち合わせていません。ただあるのは、「このようなケースは、このようにして行けば軽快するだろう」という、数多くの臨床の経験から培った経験則だけです。
世界的なベストセラーとなった「癒す心、治る力」の著者、アンドリュー・ワイル氏が次のようなとても興味深い治療観を述べています。
絶対に効かないという治療法はない
絶対に効くという治療法はない
各種療法は、互いにつじつまが合わない
草創期の新興治療はよく効く
信念だけで治ることがある
以上の結論を包括する統一変数は治療に対する信仰心である
何が効くかを考えるよりも、(自分自身が信じられる)何を用いて自ら治ろうとするかが大切なことなのかも知れません。